ハワイの教育事情を徹底解説|制度・学校選び・教育移住のリアルまで紹介

ハワイでの教育に興味はあるけれど、アメリカの制度や学校の選び方がわからず不安を感じていませんか?
本記事では、ハワイ州の教育制度と日本との違い、人気エリアの公立・私立校の特徴、インターナショナルスクールやモンテッソーリ教育の選択肢まで幅広く解説します。
さらに、親子留学や教育移住を考える方に向けて、英語教育サポートの実情や費用の現実、実際の体験談もご紹介。ハワイで子どもの可能性を広げたいと考えるご家庭に、現地のリアルな教育情報をお届けします。
本記事をガイドする人

School Owner / Hironori Yamaguchi
Yamahi
紹介文 / Introduction
Honoluluにある創立56年目のAcademia Language SchoolのSchool Owner | 家族で2022年にハワイ移住・3児の父。趣味は子供のゴルフキャディー。
目次
ハワイの教育制度を知ろう
ハワイの学年制度と日本との違い
ハワイ州の教育制度は、アメリカ全土で採用されている「K-12制度」に基づいています。これは、Kindergarten(キンダーガーテン/幼稚園)からGrade 12(12年生/高校3年生)までの13年間の教育課程を指します。子どもは一般的に5歳でキンダーに入学し、6歳から小学校が始まります。
日本と大きく異なるのは、新学年のスタート時期が8月であることです。ハワイでは多くの学校が8月中旬から新年度を開始し、翌年の5月末または6月初旬に学年が終了します。このため、日本からの編入や親子留学を考えている家庭は、学年の切り替えタイミングに注意が必要です。

3月末まで日本の学校に通って、6月のサマースクールの時期からこちらにきて、8月の入学に向けて準備をしていく方がたくさんいます!
また、学年の区分も異なり、小学校は5〜6年間、中学校は2〜3年間、高校は4年間という構成が一般的です。学校によっては「インターミディエイトスクール」と呼ばれる中間学年の設置もあります。
ハワイでは公立校も私立校もこのK-12制度に従っており、進学や編入の際には学年の位置づけや年齢との対応が重要になります。こうした制度の違いを理解することで、スムーズな進学や学校選びが可能になります。
教育カリキュラムと特徴
ハワイ州の学校教育は、全米で導入されている「コモン・コア・スタンダード(Common Core State Standards)」に基づいて構成されています。これは、英語(ELA)と数学の学力基準を全米で統一し、子どもたちが論理的思考力や問題解決力を育むことを目的とした教育指針です。
さらにハワイでは、探究型学習(Inquiry-based learning)が重視されており、生徒自身が問いを立て、調査し、発表するというアクティブラーニングが授業に多く取り入れられています。これにより、ただ知識を詰め込むのではなく、実社会で必要とされる思考力や表現力を身につけることができます。
また、英語を母語としない生徒に対しては、ESL(English as a Second Language)プログラムが用意している学校もあります。そういった学校では、段階的に英語力を育成する体制も整っています。日本からの編入生や親子留学で来た子どもたちにも対応しているため、英語が不安な家庭でも安心して学ぶことができます。

例えば、日本人も多く転校しているミッドパックでは、Grades 7からESLコースがあります!
他にもモンテッソーリやウォルドルフなど様々な特徴的なプログラムを運営しているスクールもあります。
ハワイの教育の特徴は、単なる言語習得を超えて、グローバルな視点と多様性への理解を育む土壌となっています。将来を見据えた教育環境を求める家庭にとって、魅力ある選択肢と言えるでしょう。
ハワイの学校の種類と特徴
公立校の特徴とエリア選び
ハワイの公立学校は、ハワイ州教育局(HIDOE)によって一元的に運営されています。アメリカ本土の多くの州では教育学区(School District)が複数存在しますが、ハワイ州は全州がひとつの学区で構成されている点が大きな特徴です。このため、教育カリキュラムや教員採用、学校予算などが州レベルで統一管理されており、教育の標準化が進んでいます。
公立校は基本的に居住エリアによって通学先が決まり、学区(School Boundary)内の学校に自動的に割り振られます。そのため、ハワイで子育てをしながら生活の質を高めたいと考える家庭では、「良い学校=良い住宅エリア」という視点で住む場所を選ぶことが一般的です。
人気の学区としては、オアフ島のカハラ(Kahala)、マノア(Manoa)、アイナハイナ(Aina Haina)などが挙げられます。これらの地域は治安が良く、教育水準が高いとされる学校が多く集まっており、日本人にも人気があります。また、ホノルル中心部にあるアラモアナやカカアコエリアでは再開発が進み、教育環境を求める若い世代の転入も増えています。
公立校は授業料が無料で、学校によってはESLや特別支援プログラムなども整っているため、長期滞在や移住を見据えた家族にとって、コストパフォーマンスの高い選択肢となります。
ハワイ州には「GE(Geographic Exception)」という制度があり、申請によって他の学区の学校に通うことも可能です。ただし、必ずしも承認されるとは限らず、通学の送り迎えも親が担う必要があるため、現実的には居住エリア選びが極めて重要です。
エリアの治安や暮らしやすさを判断するには、実際にその地域を歩いてみることが何より大切です。道路の舗装状態、歩道の広さや安全性、ゴミの散乱状況、ホームレスの有無などから、地域の雰囲気が如実に伝わってきます。
マノアのような整備された地域では、学校に隣接した公園や図書館があり、親子で安心して過ごせる環境が整っています。特に、午前中や放課後の時間帯に訪れると、子どもたちの様子や地域の活気も感じられるでしょう。

たとえば、人気のマノアエレメンタリーはGEで200名待ちと聞いたことがあります。
私立校の特色と学費目安
ハワイには、全米でも高い評価を得ている私立校が多数存在します。その中でも「イオラニ・スクール(ʻIolani School)」や「プナホウ・スクール(Punahou School)」は、学業・スポーツ・芸術のいずれにおいても優秀な人材を輩出してきた名門校として知られています。プナホウは、オバマ元大統領の母校としても有名です。またイオラニは、全米の学校ランキングサイトNicheでハワイで1番評価の高い学校になっています。
参考サイト:Best Schools in Hawaii | Niche
私立校は、公立校に比べて少人数制のクラス運営や高度な教育プログラム、豊富な課外活動、大学進学指導に力を入れている点が大きな魅力です。グローバルな視点を持った教育を重視し、多文化共生の中で自主性とリーダーシップを育む環境が整っています。
一方で、学費は学校によって異なるものの、年間で$20,000〜$30,000(約300万円〜450万円)程度が一般的です。これに加えて、入学金、制服代、教材費、アフタースクール費用などもかかるため、トータルでの教育費は高額になります。
入学には書類審査や面接、筆記試験などが必要となり、出願時期も早めの対応が求められます。日本からの留学や教育移住を検討している場合は、1年以上前から情報収集と準備を進めておくことが理想的です。

プライベートスクールだと移住前から入学を確定できるので安心です
教育移住・親子留学の実情
子どもが英語に馴染めるか不安な方へ
ハワイに教育移住や親子留学をする際、多くの親が最初に不安を感じるのが「子どもが英語環境に適応できるかどうか」です。特に小学校低学年や未就学児にとっては、言葉の壁が大きなストレスになりかねません。

小さいお子さんは意外とすぐに友達ができて英語にも慣れる子が多いです
ハワイでは学校によっては、英語を母語としない生徒を対象にしたESL(English as a Second Language)プログラムが用意されています。専門の教師が英語力に応じた支援を行い、通常の授業に無理なく参加できるようにサポートする仕組みです。
また、一部の学校では「バディ制度」と呼ばれる制度があり、新入生に対して年上の生徒が学校生活をサポートしてくれます。さらに、スクールカウンセラーや心理士が常駐しているケースも多く、学習面だけでなく精神面でのフォローも受けられます。
Academia Language Shchool ではハワイ移住されたご家族のお子さん向けの「英語フォローアップクラス」を開校しています。気になる方はお気軽にご相談ください。
親としても、学校とのコミュニケーションを積極的に行うことで安心感が得られます。先生との面談や連絡帳、翻訳サポートの有無などを確認しながら、家庭と学校の連携を深めることが大切です。子どもは驚くほど早く環境に順応していくものです。不安があっても、それを乗り越えた先にある「成長」を信じて、一歩を踏み出す家庭が増えています。
教育費と生活費の現実
ハワイでの教育移住や親子留学には、多くの魅力がありますが、金銭面での準備は欠かせません。特に私立校の場合、年間の学費は1人あたり2万〜3万ドル(約300万〜450万円)が一般的です。加えて、教材費・制服代・スクールランチ・遠足・アフタースクールプログラムの費用もかかります。
一方で、ハワイの公立校は授業料が無料です。居住エリアの学区内であれば、地元の学校に通うことができます。とはいえ、スクールサプライ(文房具など)や給食費(有料)などの諸費用は別途必要です。
生活費についても、日本と比べて割高な傾向があります。特に家賃は高く、ホノルル中心部の2ベッドルームで月$2,500〜$3,500が相場となります。加えて、食費・保険・車の維持費・習い事などを含めると、月々の生活コストはおおよそ$5,000〜$7,000を見積もる家庭が多いです。
これらの費用を踏まえ、サマーキャンプなどで数カ月〜1年の短期滞在で「まずは体験してみる」家庭も増えています。教育投資を長期視点で捉え、現実的なプランを立てることがハワイ移住成功の鍵となります。
ハワイ教育のメリットとリスク
ハワイで学ぶことのメリット
ハワイの教育環境には、他の地域にはない独自の魅力があります。そのひとつが、多様性の中で育まれる寛容さと異文化理解です。ハワイはアジア系、ポリネシア系、白人、アフリカ系など、さまざまなバックグラウンドを持つ人々が共に暮らす社会です。そのため、学校でも多文化を前提とした教育が行われており、子どもたちは幼いころから「違いを尊重する姿勢」を自然と身につけていきます。
また、自然環境に恵まれている点も見逃せません。年間を通じて温暖な気候の中で、ハワイ固有の動植物や海洋生物に触れる体験型の学習が豊富です。学校行事として、ビーチクリーンや農園体験、博物館見学などが取り入れられ、教室の外でも学びの機会が広がります。
さらに、ESLやバイリンガル教育の体制も整っており、日本からの留学生にとっては英語を学ぶうえで理想的な環境です。教師も多文化教育に慣れており、英語が不完全な子どもにも根気強く対応してくれます。
ハワイでの教育は、単なる語学習得にとどまらず、グローバルに活躍できる基礎力や視野の広さを育てる機会を提供してくれます。
ハワイ教育の課題と注意点
一方で、ハワイの教育にも課題はあります。まず挙げられるのは、公立校における教育レベルの地域差です。学区によって学校の質や学力レベルにばらつきがあり、同じ州内でも通う学校によって大きな違いが生まれます。これは日本の「教育均一性」とは異なるアメリカ特有の特徴であり、住むエリア選びが教育の質を左右する重要な要素となります。
また、英語力の格差も見過ごせません。ESL支援があっても、授業は基本的にすべて英語で進行するため、子どもが理解できない時間が続くこともあります。最初の半年から1年は「ついていけない」「発言できない」と感じることも多く、本人も親も根気強く支えていく必要があります。
さらに、ハワイの学校では、大学進学に向けた指導体制や進路サポートが私立校と公立校で異なるため、将来的にアメリカ本土の大学を目指す場合は、計画的に進学対策を進める必要があります。
加えて、施設や教育資源の面でも、学校によって環境に差があります。例えば、冷房設備が整っていない公立校や、インフラが老朽化しているキャンパスも一部に見られます。
このように、ハワイでの教育には魅力と同時にリスクもあることを理解し、しっかりと現地での視察や情報収集を行ったうえで判断することが大切です。
将来を見据えたハワイ教育移住の準備
学校見学・短期体験のすすめ
ハワイへの教育移住を本格的に検討する前に、まず短期滞在や学校見学を通じて現地の生活環境や教育スタイルを体感することが重要です。数日間の観光では見えない、通学・生活リズム・周辺環境の「リアル」が見えてきます。
多くのハワイの私立校では、事前予約によるキャンパスツアーや学校説明会を実施しており、実際に授業風景を見学したり、教師と直接話をしたりすることができます。数週間〜数か月単位のサマープログラムを受け入れている学校もあるため、まずはお試しとして子どもに体験させてみるのも一つの方法です。
また、現地の公園、図書館、プレイグラウンドなども一緒に巡ることで、子育て環境としての住みやすさを判断することができます。特に朝夕の登下校時間にあわせてエリアを歩いてみると、治安や地域の雰囲気、子どもたちの様子がよりリアルに感じられます。
こうした「教育+生活」両面からの下見を通して、自分たちの家族にとって本当にフィットする環境かどうかを見極めることが、後悔のない教育移住への第一歩です。
長期滞在に向けたビザと住居の検討
ハワイに長期滞在し、子どもを学校に通わせるには、適切なビザの取得と安定した住居の確保が欠かせません。
まず、子どもが留学生として滞在する場合には、学校から発行されるI-20(入学許可証)に基づいてF-1ビザを申請するのが一般的です。しかし、この場合、親は原則としてF-1ビザに付随して同行滞在することはできません。
長期的な滞在を希望するためには、学生ビザ、観光ビザ、または投資・駐在・永住ビザなど、家族全体の滞在計画に応じた選択が求められます。たとえば、親が語学学校などでF-1ビザを取得してハワイに来る場合でも、付帯者の子供は現地の学校に通うことができます。
また、住居選びにおいては、子どもが通う予定の学校の通学圏にある物件を検討する必要があります。ハワイでは通学学区が住民票に基づいて決まるため、エリア選びは学校選びと直結します。希望校へのGE(Geographic Exception)申請をする場合でも、送り迎えの負担などを踏まえたエリア選びが求められます。
家の周辺環境も重要です。通学路の安全性、近隣の公園やスーパーの利便性、地域の治安など、実際に現地で足を運んで確認することが、後悔のない移住を実現するポイントとなります。
まとめ
ハワイの教育は、アメリカ式の制度をベースにしながらも、多文化共生や自然体験を通じて、子どもの自主性や国際感覚を育てる魅力的な環境が整っています。一方で、地域ごとの教育格差や生活コストの高さ、英語適応の壁など、慎重に検討すべきポイントも少なくありません。
そのため、教育移住や親子留学を検討する際は、まず現地の学校やエリアを見学し、実際の生活をイメージすることが重要です。短期体験や学校説明会を活用して、子どもに合う環境かを見極めましょう。
ハワイでの教育は、単なる「英語教育」ではなく、家族全体の価値観や将来設計にも深く関わる選択です。理想だけでなく現実とも向き合いながら、自分たちにとって最適な形を見つけていくことが、成功のカギとなります。