海外移住はやめとけ!と言われる理由10選と失敗しないための5つの秘訣
「海外移住はやめとけ」と言われる理由は、お金・手続き・言葉・社会保障・文化・治安・孤独・資格・食事・法律の10個に集約され、どれも本当です。ただし性質は同じではありません。お金とビザ(住む資格)は、数字と制度を知れば準備で解ける問題で、言葉や文化や食事は、住んでみないと自分に合うか分からない問題です。外務省の統計では、海外に住む日本人は129万3,097人、うち米国に41万3,380人います(2024年10月1日現在)。移住は特別なことではなく、順番を間違えなければ続けられます。この記事では、ハワイ(ホノルル)に住む場合を例に、「やめとけ」の10の理由を公式の数字と制度で確かめ、失敗しない順番を Academia 編集部がまとめます(2026年10月14日時点。金額は米ドルで、円の換算は為替で変わるため書いていません)。
執筆:Academia 編集部/監修:Yamahi(School Owner, Academia Language School)
目次
「海外移住はやめとけ」と言われる10の理由は何ですか?
答えは「お金・手続き・言葉・社会保障・文化・治安・孤独・資格・食事・法律」の10個です。周りの人がこう言うのは、たいてい本人を心配しているからで、どれも的外れではありません。ただ、10個を並べたままでは対策が立たないので、3つの問いに整理します。

- お金は足りるか:①経済的につらい ④社会保障(医療費)が違う
- 住む資格はあるか:②手続きがややこしい ⑧資格が使えない ⑩法律が違う
- 暮らしは続くか:③言葉 ⑤文化 ⑥治安 ⑦孤独 ⑨食事
前の2つは、調べれば答えが出ます。3つ目は、調べただけでは分かりません。この違いを踏まえて、1つずつ見ていきます。
お金:ハワイで暮らすには、いくら必要ですか?
答えは「ホノルルで自活するには、大人1人で年収 42,698ドル、大人2人と子ども2人の家族で 95,171ドル」です。ハワイ州の経済開発観光局(DBEDT)が、公的・私的な援助に頼らずに住居・食費・交通・医療・保育・税金をまかなえる世帯年収を、家族の形ごとに推計しています(「Self-Sufficiency Standard 2024」、2025年12月公表)。
- 大人1人:42,698ドル/大人2人:54,699ドル/大人1人+未就学児1人:72,938ドル/大人2人+子ども2人:95,171ドル
- 最低賃金(2024年 時給14ドル)で週40時間働いた年収は 29,120ドルで、1人暮らしの自活ラインにも届きません。最低賃金は2026年1月に時給16ドル、2028年に18ドルへ上がりますが、それでも足りません
- 民間の推計(MIT「Living Wage Calculator」2026年2月)では、ホノルル郡の大人1人の生活賃金は年 64,134ドル。4万〜6万ドルが1人暮らしの幅です
- 生活費指数はハワイが全米1位の 184.8(全米平均100。MERIC 2026年第1四半期)。住居費は全米の約3倍です
「社会保障が違う」も、お金の問題として数字にできます。米国には日本の国民健康保険のような全員加入の公的保険がなく、会社の保険か、州の保険取引所で買う保険か、学生なら学校を通じた保険に入ります。KFF(カイザー家族財団)の2025年の調査では、雇用主が提供する保険の年間保険料の平均は1人 9,325ドル、家族 26,993ドルです(会社と本人で分担)。保険なしで受診すると全額を請求されるので、保険料を生活費に最初から入れておくのが米国で暮らす前提です。
家族の形ごとの詳しい数字はハワイ移住に必要な年収、初期費用はハワイ移住のための費用、保険はハワイの保険ガイドにまとめています。

私がハワイに来たとき、最初の2年はドルの収入がゼロでした。学生ビザでは働けないので、日本で用意したお金で暮らすしかありません。「お金が続かない」と言われたら、「1年分の生活費と学費と保険料を先に用意する。働く前提にしない」と答えられるようにしておくと、反対する人も納得しやすいです。為替は読めないので、ドルで持てる分はドルにしておくのも一つの手です。
ビザ:「行ってから仕事を探す」はできますか?
答えは「できません」です。「手続きがややこしい」の正体はここにあります。米国に住むには、入国の目的に合った資格(ビザ)が先に要り、資格ごとに「働けるか」「どのくらい居られるか」が決まっています(在日米国大使館の案内、SEVP の案内。2026年10月14日確認)。
- ESTA(ビザ免除):観光・商用で最長90日。働くことも、学校に入学することもできません。延長や他の資格への切り替えも原則できません
- 学生ビザ(F-1):学校が発行する I-20 の期間、住めます。働けるのは学内に限られ、授業期間中は週20時間までです。家族は F-2 で同行できますが、家族は働けません
- 就労ビザ:雇用主が先に請願(申請)する仕組みで、本人が「働きたい」と申し込むものではありません。職種や学歴の条件もあります
- 家族・投資・永住:米国市民や永住者との結婚、一定額の投資、永住権の抽選(DV)など。いずれも年単位の手続きです
「日本の資格が使えない」も、この問いに含まれます。医師・看護師・弁護士などの資格は、州ごとの試験や認証を経ないと使えません。それ以前に、働ける資格のビザがなければ、どんな資格も使えないので、順番は「ビザ → 資格の切り替え」です。日本の運転免許は、ハワイでは到着後に州の免許に切り替えます。
現実的な始め方として多いのは、学生として1年住むことです。学生ビザは学校が I-20 を出せば申請でき、ハワイに住む根拠になります。Academia Language School は週4日制で F-1 の条件を満たし、入学日は毎週月曜日です。学生ビザの取り方はこちらの記事、2026年の規則の動き(4年ルール)はこちらにまとめています。

学校を経営している立場から、ここははっきり書いておきます。「現地で何とかなる」と考えて来るのがいちばん危ないです。ESTA で入って働くのは違法ですし、学生ビザでも学校の外では働けません。移住の相談で最初に確かめるのは「どのビザで住むつもりですか」で、ここが決まっていない人には、まず学生として1年住む形を勧めています。
暮らし:言葉・文化・治安・孤独・食事は、どう備えますか?
答えは「備えはできるが、合うかどうかは住んでみないと分からない」です。この5つは数字にしにくく、人によって重さが違います。できる備えだけを書きます。
- 言葉:病院・学校・役所・銀行は英語です。日本で日常会話まで作っておき、着いてからは語学学校で「生活で使う英語」を続けるのが近道です。ホノルルには日本語で受けられるサービスもありますが、頼り切ると英語が伸びません(ハワイは日本語が通じる?)
- 文化:時間や約束の感覚、仕事の進め方は違います。「違うのが普通」と決めておくと、腹が立つ場面が減ります
- 治安:ハワイは地域と時間帯で差があります。住む地域を決める前に、昼と夜の両方を歩いて確かめてください(ハワイの治安)
- 孤独:家族や友人と離れる寂しさは、着いて3か月ごろが山です。学校・子どもの学校・日本人会・教会・趣味の集まりなど、週に1回は人と会う場所を先に作っておくと楽になります
- 食事:ホノルルには日系のスーパーがあり、味噌・醤油・出汁は手に入ります。値段は日本より高いので、食費は多めに見ておきます(ハワイのスーパー)
だからこそ、最初から「永住」と決めずに、1年住んでみてから決める形を勧めています。学生として1年住めば、言葉・買い物・病院・学校・治安を自分で確かめられ、合わなければ帰れます。
年金と資格:日本で積み上げたものは、どうなりますか?
答えは「年金は海外でも受け取れ、積み増しもできる。資格は国ごとに取り直し」です。日本年金機構の案内では、海外に住む日本国籍の人は国民年金の強制加入ではなくなりますが、任意加入で保険料を払い続けることができます(20歳以上65歳未満。申し出た月からで、さかのぼれません)。受け取るときは、海外の口座を振込先に指定でき、「外国居住年金受給権者 住所・受取金融機関 登録(変更)届」と、毎年の現況届(在留証明書を添付)を出します。日本と租税条約のある国では、手続きをすれば非居住者の所得税が免除されます。
出国前にやることは、住民票を抜くか残すか、住民税、国民健康保険の資格、マイナンバーカードの扱いなど、年金以外にもあります。住民票を残す?抜く?と海外移住と年金にまとめています。
失敗しないための順番は?
答えは「資格 → お金 → 1年住む → 次の資格」です。「やめとけ」の10の理由は、この順番で1つずつ答えられます。

- ① 住む資格を決める:観光(ESTA)では住めません。学生・就労・家族・投資のどれで入るかを先に決めます。最初の1年は学生(F-1)が現実的です
- ② お金を組む:自分の家族の形の自活ライン(上の DBEDT の数字)を知り、1年分の生活費+学費+医療保険を先に用意します。働く前提にしません
- ③ 1年住んでみる:学校に通いながら、英語・買い物・病院・学校・治安を自分で確かめます。合わなければ帰れる形にしておきます
- ④ 次の資格へ:英語と人脈ができてから、就労・家族・投資など長く住める資格を考えます。日本の資格の切り替えや年金の手続きも、この段階で落ち着いて進められます

「やめとけ」と言ってくれる人は、たいてい味方です。私は反対されたとき、理由を10個書き出して、1つずつ「こう備える」と答えを用意しました。答えられない理由が残っているうちは、まだ行く時期ではないのだと思います。全部に答えられたら、あとは行くだけです。うちは学生ビザで来て、5年経ちました。
まとめ:「やめとけ」の理由は、順番で1つずつ解ける
- 「やめとけ」の10の理由は、お金・住む資格・暮らしの3つの問いに整理できる
- ホノルルで自活する年収の目安は、大人1人 42,698ドル、家族4人 95,171ドル(DBEDT 2024年)。医療保険料は家族で年 26,993ドルが平均(KFF 2025年)
- ESTA では働けず学校にも通えない。F-1 は学内のみ。就労ビザは雇用主の請願が先。「行ってから探す」はできない
- 年金は海外でも受け取れ、任意加入で積み増せる。資格は国ごとに取り直し
- 順番は「資格 → お金 → 1年住む → 次の資格」。学生として1年住んでから決めるのが現実的
「自分の場合はどのビザか」「1年住むならいくら要るか」は、日本語でご相談いただけます。学校の申込から子どもの学校、住む場所の考え方まで、順番に一緒に整理します。
関連動画
出典:外務省「海外在留邦人数調査統計(令和6年10月1日現在)」(2025年1月20日)、ハワイ州 DBEDT「Self-Sufficiency Standard: Estimates for Hawai‘i 2024」(2025年12月)、MIT Living Wage Calculator(Honolulu County、2026年2月15日更新)、MERIC Cost of Living Data Series(2026年第1四半期)、ハワイ州知事室「Hawaiʻi’s Minimum Wage Increases to $16.00 on January 1」(2025年12月15日)、KFF「2025 Employer Health Benefits Survey」、在日米国大使館・領事館 ビザ申請案内(ustraveldocs)「ビザ免除プログラム」「ビザの種類」、SEVP Study in the States「Working in the United States」、日本年金機構「海外に居住する方の国民年金の任意加入」「年金を受けている方が海外に転出するとき」(いずれも2026年10月14日確認)。この記事は2026年10月14日時点の情報です。法的な助言ではありません。

