留学ビザの4年ルールはいま?D/S廃止規則の現状
アメリカの留学ビザ(F-1)の滞在期間を「最長4年」などに区切る新しい規則は、2026年10月8日時点で施行されていません。2026年9月14日に連邦地裁が施行日を延期し、全米で国土安全保障省(DHS)による実施を止めたためです。政府は9月30日に控訴しましたが、控訴しても地裁の命令は変わりません。いま F-1 で学んでいる人も、これから留学する人も、滞在期間はこれまでどおり「D/S」で扱われます。この記事では、規則の中身と裁判の流れ、そしていま留学を考えている人が確かめておきたいことを、Academia 編集部がまとめます。
執筆:Academia 編集部/監修:Yamahi(School Owner, Academia Language School)
目次
「4年ルール」とはどんな規則ですか?
DHS が2026年7月17日に連邦官報で公表した最終規則(文書番号 2026-14439)です。正式な名前は「F・J・I の非移民について、滞在期間を固定し、延長の手続きを定める規則」で、施行日は2026年9月15日とされていました。
これまで F-1 の学生は、入国のときに滞在の期限が日付では決められず、「D/S」と記録されてきました。D/S(Duration of Status)とは、学生の身分を保っている限り滞在を認める仕組みのことです。その身分を示すのが、学校が発行する I-20(入学許可書)です。新しい規則は、この D/S をやめ、I-20 に書かれたプログラムの終了日まで、最長4年という決まった期間で入国を認める形に変えようとしました。
規則には、ほかにも次のような変更が含まれています(連邦官報 2026-14439 の要約から)。
- 語学学校(英語の研修プログラム)は通算24か月まで:休みや年1回の長期休暇を含めて数えます。規則の施行より前に終えたプログラムは数に入れないとしています
- 修了後に出国の準備をする期間を60日から30日に短縮
- 期間を延ばすときは移民局(USCIS)へ延長の申請:これまでは学校が I-20 を延長すれば足りましたが、規則では延長の申請(Form I-539 など)が必要になります
- 転校や学ぶ目的の変更は、原則として最初の1学年を終えてから:最初に I-20 を出した学校で1学年を終えることを求めます(SEVP が例外を認める場合を除く)
- 同じ課程の段階、またはそれより下の段階への入り直しはできない
また、施行日に D/S で滞在している人には経過措置があり、いまの I-20 のプログラム終了日まで(施行から最長4年)は D/S のまま学べるとされていました。

語学学校にとっていちばん大きいのは「通算24か月」の上限です。7月に発表があってから、「2年以上いたい場合はどうなるのか」というご相談をたくさんいただきました。
規則はいま、どうなっていますか?
答えは「裁判所の命令で止まっていて、D/S のまま」です。流れを日付で整理します。

- 2026年7月17日:DHS が最終規則を連邦官報に掲載(施行予定は9月15日)
- 8月18日:NAFSA(国際教育の団体)や Presidents’ Alliance on Higher Education and Immigration など、大学・教育関係の団体と労働組合が、マサチューセッツ州の連邦地裁に提訴(Presidents’ Alliance v. DHS、事件番号 1:26-cv-13799)
- 9月14日:サイラー判事(F. Dennis Saylor IV)が、規則の施行日を延期し、DHS と移民・関税執行局(ICE)が規則を実施することを禁じる命令を出しました。対象は全米です
- 9月15日:予定されていた施行日。規則は施行されませんでした
- 9月30日:政府が第1巡回区の連邦控訴裁判所に控訴の通知を出しました
- 10月2日:地裁で進行協議。政府は控訴審を急ぐよう求める考えと、地裁の手続きを止める案を示し、原告側は早い最終判断を求めました。判事は、今後の進め方についての双方の意見を10月9日までに出すよう指示しています
原告団の訴訟ページは、控訴について「規則を施行させるものではなく、施行日を延期した地裁の命令も変えない」と説明しています。つまり、控訴審で判断が変わるまでは、いまの止まった状態が続きます。控訴審がいつ、どう判断するかは、現時点では分かりません。
いま F-1 で学んでいる人・これから留学する人は、何が変わりますか?
2026年10月8日時点では、何も変わっていません。新しい規則にある「最長4年」「語学学校は通算24か月」「猶予30日」「移民局への延長の申請」「転校の制限」は、どれも始まっていません。

ただし、控訴審の判断しだいで規則が動き出す可能性は残っています。規則が動き出した場合に備えて、次の点を手元で確かめておくと安心です。
- 自分の I-20 のプログラム終了日:規則が動いた場合、滞在の期限の基準になります
- I-94(入国記録)の記載:いまは「D/S」と記録されているはずです。米国税関・国境警備局(CBP)のサイトで確認できます
- 学びたい期間の合計:語学学校で2年を超えて学ぶ予定の人は、規則が動いた場合の影響が大きくなります
- 転校の予定:途中で学校を移る予定がある人は、学校の担当者(DSO)に早めに相談してください

SNS では「もう4年ルールが始まった」という古い情報もまだ見かけます。いまは止まっています。不安なときは、ご自身の I-20 と I-94 を一緒に確認しましょう。
Academia Language School はどう対応していますか?
Academia Language School(ホノルル・アラモアナ)は、規則の行方がはっきりするまでの対応として、申込の期間にかかわらず2年間の I-20 を発行しています。あとから学ぶ期間を延ばしたくなったときに、延長の手続きに左右されにくくするためです。
また、F-1 の出席の条件を満たす週4日制(月〜木)のクラスがあり、入学日は毎週月曜日です。転校での受け入れや、親子での留学(親が F-1、ご家族が F-2)のご相談も受けています。ビザの発給は大使館・領事館の審査によるため、学校がビザの取得をお約束することはできませんが、書類の準備や手続きの流れは日本語でご案内しています。

短い期間で申し込んだ方でも「やっぱりもう少しいたい」となることはよくあります。最初から2年の I-20 にしておけば、そのときに慌てずにすみます。
続報はどこで確かめればよいですか?
裁判の動きは、原告団(Presidents’ Alliance)の訴訟ページに日付つきでまとめられています。規則そのものの文章は連邦官報で読めます。留学生と学校向けの公式の案内は、DHS の留学生向けサイト「Study in the States」に出ます。次の節目は、10月9日の双方の意見の提出と、そのあとの控訴審の進み方です。
Academia でも、動きがあれば学校サイトのコラムと SNS でお知らせします。ビザの手続きの全体は、関連記事もあわせてご覧ください(関連記事:アメリカ学生ビザ(F-1)の取り方、学生ビザ面接の一時停止について)。
まとめ:いまは D/S のまま。I-20 の終了日だけは確かめておく
- 留学ビザの滞在を「最長4年」などに区切る規則は、2026年9月14日の連邦地裁の命令で止まっている
- 政府は9月30日に控訴したが、控訴しても地裁の命令は変わらない。いまも D/S のまま
- 語学学校の通算24か月、猶予30日、延長の申請、転校の制限も、始まっていない
- 控訴審の判断しだいで動く可能性はあるため、自分の I-20 の終了日と I-94 を確かめておく
- Academia は申込の期間にかかわらず2年間の I-20 を発行している
「自分の場合はどうなるのか」「いま申し込んでも大丈夫か」など、Academia では日本語でご相談を受けています。個別の在留資格の判断が必要なときは、移民法の専門家にもご確認ください。
出典:Federal Register「Establishing a Fixed Time Period of Admission and an Extension of Stay Procedure for Nonimmigrant Academic Students, Exchange Visitors, and Representatives of Foreign Information Media」(2026年7月17日、FR Doc. 2026-14439、RIN 1653-AA95)、Presidents’ Alliance on Higher Education and Immigration「Duration of Status Litigation」(2026年10月8日確認)。この記事は2026年10月8日時点の情報です。法的な助言ではありません。

